視点
新しい地域保健を考える
今井 博久
1
,
斎藤 和雄
1
1北海道大学医学部衛生学教室
pp.2-3
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902950
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昨年4月地域保健法が施行されてからすでに一年近く経過し,地域においてはその理念が徐々に浸透しつつある.本稿では,新しい地域保健法の施行に関連して地域保健体制の進むべき方向性についていくつかの提言をしてみたい.
従来,衛生公衆衛生学分野では,結核などの伝染病や環境衛生問題の解決が中心課題であったが1),最近ではO157型大腸菌の感染やダイオキシンなどによる新しい環境汚染問題が注目されてきている.他方,わが国は歴史上類を見ない速度で高齢化が進み,少子高齢社会が到来しつつあり,医療福祉や健康増進施策が重要な課題となって来た.従来の関係諸法令や行政機構は,現場の実態と大きく乖離し,有効な機能を失いつつあり,いわゆる「制度疲労」に陥っているといえる.したがって,少子高齢社会の到来,疾病構造の変化,地方分権と住民自治への転換などの時代の変化に対応する地域保健計画を早急に構築する必要が生じてきた.
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