連載 地域保健関連法規とその解釈・14
採血及び供血あっせん業取締法
河原 和夫
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学系専攻医療政策学講座
pp.124-125
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902675
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近代医学以前から体力が消耗した者に対しては新鮮な血液を与えることにより体力や生命の延長が図られると考えられ,初期には羊などの動物の血液がヒトに投与された.1900年(明治33)にランドシュタイナーのABO血液型の発見をきっかけとして近代医学に立脚した輸血学が始まった.しかし,今日に至るまで,その進歩は未知の病原微生物対策などの歴史と言っても過言ではない.わが国での本格的な輸血は1919年(大正8)に九州大学の後藤教授と東京大学の塩田教授により行われたのが最初とされている.1930年(昭和5)に時の浜口首相が暴漢に襲われ輸血を受けたことが報道され,国民に輸血という医療行為が広く知れわたることとなった.現在では,輸血に用いられる輸血用血液製剤はすべて,国内の献血由来血液によって賄われているが,過去に血液製剤によるHIV感染事件が起こったことは記憶に新しいところである.献血から輸血に至る一連の行為を規律しているのがこの法律である.
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