連載 地域保健関連法規とその解釈・13
予防接種法
河原 和夫
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学系専攻医療政策学講座
pp.58-59
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902658
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感染症予防対策の一環として予防接種が行われている.その起源は種痘苗を竹筒で鼻腔粘膜に噴霧した古代中国の方法やジェンナーが種痘法を発見したときに遡る.免疫学の進歩や各種細菌などの病原微生物の発見により,いろいろな感染症に対する予防接種が開発された.わが国では,江戸未期に福井藩医の笠原白翁により京都から雪が降りしきる北陸街道の栃の木峠を越えて藩の子どもたちの身を挺した行動により種痘苗が福井の地にもたらされ,以後,苗分けされ種痘法として全国に普及していったのが予防接種の始まりである.現在では,予防接種の恩恵により乳幼児を中心に感染症で死亡する者の割合は激減したが,一方で予防接種による副反応などの健康被害ももたらした.予防接種法の規定も時代に応じた見直しが行われ今日に至っている.
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