連載 「健康日本21」と自治体・13(最終回)
がん
山口 直人
1
1国立がんセンター研究所がん情報研究部
pp.284-288
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902490
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生活習慣とがん
がん発症が生活習慣と密接な関連を持つことは,生活習慣の異なる国,地域でがん罹患率が大きく異なること,移民の研究によって移民元から移民先へとがんの発症パターンが変化することなどによって明らかにされてきた.Doll & Petoによれば,米国におけるがん死亡の35%は食生活,30%は喫煙によって説明できるとされ,食生活と喫煙でがん死亡の実に2/3が説明可能であることが明らかにされた.
健康日本21は,21世紀において日本に住む一人ひとりの健康を実現するための新しい考え方による国民健康づくり運動であると規定されている.特に,慢性疾患発症における生活習慣の重要性に注目し,生活習慣の改善によって疾病罹患を未然に防ぐ1次予防に重点を置くべきであることが明示された.がん発症に対する生活習慣の影響が極めて大きいことは上述のとおりであり,がんは最も大きな効果を期待できるターゲットであるといえる.
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