特集 大学の公衆衛生教育
公衆衛生における専門性—現場からの意見
阿彦 忠之
1
1山形県村山保健所
pp.477-480
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902327
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保健所の機能と専門性
保健所の書棚に,とても大切な1冊の本がある.題名は,『今いきいきとした公衆衛生活動のために』1).厚さ1cmの小冊子で,背表紙は日焼けして黄ばんでしまったが,内容は今でも新鮮で,まったく色褪せていない.特に「保健所の10の機能」(表)に関する解説は,発行から10年以上経過した今でも,筆者の貴重なバイブルとなっている.
本書によれば,「①総合的な公衆衛生活動の展開」は,保健所活動の最終的な到達点であり,②から⑩の具体的な機能をバランスよく実践することが期待されている.各機能はそれぞれ独立したものではないが,自分の保健所はどの機能が弱いかを考え,それを高めるためのヒントを全国の先進事例から学べるように工夫されている.つまり,各機能とも机上のあるべき論ではなく,全国でいきいきと活動している保健所の実践例をもとに提案されたもので,公衆衛生の現場で身に付けるべき専門性を示したものといえる.
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