連載 シリーズ 始動した新しい健康の町づくり—出雲健康文化都市プロジェクト・5
市民と専門家のエンパワーメントを実現する健康学習
四方田 悦子
1
,
石川 智恵子
2
,
塩飽 邦憲
3
1出雲市福祉推進課高齢者福祉係
2出雲市健康増進課健康医療係
3島根医科大学環境保健医学
pp.567-571
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902129
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健康活動と暮らし方の選択
出雲市健康文化都市プロジェクトでは,健康福祉政策の形成,市民活動のネットワーキング,健康学習を重視している.出雲市では,高脂血症や糖尿病など生活習慣病の増加が著しく,ストレス関連疾患や,エイズなどの性行動関連の感染症も重要な健康課題となっている.こうした中で,市民一人ひとりが,緑豊かな自然環境の中で社会資源を活用しながら「障害や病気の有無にかかわらず,いきいきと輝いて暮らす」ことが,健康活動の目的となってきた.出雲市老人クラブは,「健康文化都市・いずもプラン21」1)の策定に積極的に参加し,健康活動の目標を「元気に暮らす」ことだけでなく,「老いと孤独を受け容れる」,「ボランティアや趣味を通して地域社会とかかわる」,「地域文化や生きる技を伝える」ことに拡大し,1997年より連続講座を企画している.まさに,市民の健康観は,身体的な健康から精神的・社会的・霊的(スピリチュアル)健康を含む総合的な健康観へと発展しつつあると言えよう.市民は,自らの価値観や信念に基づいた健康福祉サービスや暮らし方を選択している.さらに,市民は受動的な健康福祉サービスの受け手ではなく,能動的で「自立した健康人(ヘルシー・ピープル)」であり,自己尊厳,セルフケア,ソーシャルネットワークの開発,社会サービス利用の選択能力をのばしつつある2).
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