特集 女性への暴力
女性と暴力—保健所における取り組み
徳永 雅子
1
,
向山 晴子
1
1世田谷保健所
pp.558-562
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902127
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保健所(保健福祉センター)において,女性に対する暴力の相談にかかわるようになったのは,アルコール相談が始まってからである.1980年代半ばを過ぎたころ,保健所にも夫の暴力を訴えて駆け込む姿が目立つようになってきた.しかしながら,彼女たちは援助を求めてきても,すぐミーティングを脱落してしまう.悲惨な状況で,命が危ないかもしれないのに家を出ようとしない.なぜ暴力を伴っているアルコール家族は変化しないのか,夫から離れようとしないのか不思議であった.そしてまたいったん家を出ても,また帰るという出入りも結構あって,介入も難しいという印象だった.
それからは薬物依存,男性依存,ギャンブルなど嗜癖にからむ暴力,恋人からの暴力,父親や母親の思春期の娘に対するいじめ,あるいは嫉妬妄想と暴力,老人虐待,児童虐待,精神疾患と暴力など様々なバイオレンスの相談が関係機関を通して,あるいは直接に相談が入るようになった.
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