特集 公衆衛生をささえるもの—情報
公衆衛生における情報—根拠に立脚した保健医療への転換
久繁 哲徳
1
1徳島大学医学部衛生学講座
pp.709-716
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901767
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保健サービスの意思決定
住民に最適な保健サービスを提供し,その成果を評価することは,保健従事者の業務であり社会的責任である.こうした一連の意思決定の基礎となるのは情報である.その意味では,保健サービスの意思決定に伴う情報処理(把握,評価,利用,伝達,作成)は,保健従事者の最も重要な作業であり基礎能力といえよう.
しかも,そうした原点に立ち返って現在,サービスの内容と成果の説明責任(accountability)が厳しく問われている.というのも現在までの保健サービスについては,「予防にまさる治療なし」といった価値観に基づき,膨大な保健医療資源を費やして提供されてきた.ところが,はたして「住民に害以上の良い結果をもたらして」きたかどうか,あるいは「利用した社会的資源に見合う利益をもたらして」いるかどうかという点については,ほとんど評価が行われてこなかったからである.
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