特集 ノーマライゼーションの実現へ
ノーマライゼーションとアメリカ障害者法—とくに日本の障害者施策と比較して
斎藤 明子
1,2
1全国自立生活センター協議会
2コミュニティサポート研究所
pp.397-401
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901701
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1993年に障害者基本法が制定されて以来,障害者の施策をめぐっては95年12月の「障害者プラン」の策定とそれに続く都道府県,政令指定都市の障害者基本計画と早いテンポで進んで来ている.市町村の障害者計画はそれほどスムーズな進展を見せていないようだが,国レベルでは「介護保険法案」,「市民活動促進法案」が国会に上程されており,一見ドラスティックな変化の時期を迎えているように見える.
しかしなぜか「アメリカ障害者法・ADA」が制定されたときのような「何かが変わる」という確かな予感,熱い期待が感じられない.1973年に,ある法律家がリハビリテーション法(以下,リハ法と略)にすべりこませた「障害に基づく差別を禁止する」という条文が燃え上がらせた障害者自身による権利擁護運動,自立生活運動は障害者に対する世間の考えを一変させてしまった.「障害者が望んでいるのは保護と愛情,親切な特別扱い」と決め込んでいた世間に対し彼らは「私たちが望んでいるのは平等な機会と社会への参加」と高らかに宣言したのである.その後,1978年には障害者自身が運営することを要件とする自立生活センターに予算がつき,1988年には「公正住宅法」が成立.4戸以上の集合住宅は障害を持つ人にも使えるようにしなければならなくなった.
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