公衆衛生医師—その現状と課題 座談会
保健医療福祉計画と公衆衛生医師(2)
岩室 紳也
1
,
笹井 康典
2
,
原 徳壽
3
,
坂田 清美
4
1神奈川県秦野保健所
2大阪府四条畷保健所
3労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
4自治医科大学公衆衛生学教室
pp.198-203
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900997
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
坂田 これまでのお話で市町村と保健所,都道府県の役割がかなり具体的にイメージできてきたような気がします.直接的な対人保健サービスは市町村で,という底流ができています.保健所,さらに都道府県レベルの公衆衛生医の役割はますます重要になっていると思います.
例えば保健所あるいは都道府県には,毎年の老人保健事業の検診データがたくさん蓄積されていますが,必ずしも疫学的な立場から解析されていません.これは市町村レベルでできるものもあるでしょうが,都道府県レベルで情報を集め解析することによって,市町村間の格差やばらつきを明らかにできると思うのです.ところが,そのデータがこれまであまり生かされてこなかった背景には,都道府県レベルで必ずしもそれだけの専門家を確保する余裕がなかったのかも知れませんし,あるいはビジョンがないために充足できなかったことがあるかも知れません.都道府県の衛生研究所は本来そういう機能を担ってもおかしくない機関ですけれども,必ずしもその機能が明確にされておらず,疫学的な解析も十分行われてないのが現状かと思います.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.