保健行政スコープ
住環境におけるアレルギー疾患対策
大井田 隆
1
1厚生省生活衛生局企画課
pp.884-885
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900710
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1.はじめに
徒然草の中で兼好法師は「住宅は夏向きに作るべきである」と記しているが,なかなかこの言葉は味わい深いものと思えて来る.日本の気候は欧米先進国とは違って,夏の高温多湿は熱帯並みである.当然のことながら,このことは住宅内に発生し,アレルギーの原因となるダニやカビを増加させてしまうのであるが,近年の気密性の高い住宅は(特にマンション),ダニやカビの巣になるようで,古い昔の開放型住宅に住んでいたころとは違った問題が現在起こっている.このような意味からも兼好法師の言葉は実によく,現在の住宅問題を言い表している.
しかしながら,今さら昔のように開放型住宅が増えるとも思えない.やはり,気密性の高く,保温性のある住宅は一度知ったら忘れられないものであり,特に老人には夏の暑さや冬の寒さは大変である.
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