連載 All about 日本のワクチン・22
新型コロナワクチン—小児を中心に
天羽 清子
1
1大阪市立総合医療センター小児救急・感染症内科
pp.1054-1057
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210401
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1.当該疾患の発生動向
2019年12月、中国湖北省武漢市が発端となった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)は瞬く間に全世界に拡散し、世界的な大流行(パンデミック)となり、多くの生命を奪い社会活動に厳しい制限をもたらした。このSARS-CoV-2はRNAウイルスであるため容易に変異し、アルファ株→デルタ株→オミクロン株と新たな株による流行を繰り返してきた。
パンデミックの初期には、小児の感染者は成人と比較して非常に少なく、SARS-CoV-2の受容体であるアンジオテンシン変換酵素2が小児では少ないことが原因と考えられた1)2)。しかし、ワクチンが開発され成人の多くが接種したこと、また罹患歴のある成人が増えたこと、ウイルスに変異が入ったことなどで、オミクロン株からは小児の感染者割合が増加している。表13)4)は2024年第24週の定点当たりの年代別報告数3)と、2024年4月報の人口統計から得た各年代の人口4)と、前2つのデータから得た人口10万人当たりの報告数を示している。成人や高齢者よりも20歳未満の感染率が多くなっていることが分かる。
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