特集 感染症法施行20年の歩みと到達点—COVID-19の流行を踏まえて
感染症法施行後の感染症指定医療機関の到達点—特定感染症指定医療機関としてのこれまでの当院の取り組み〜COVID-19対応を含めて〜
倭 正也
1,2
1りんくう総合医療センター総合内科・感染症内科
2りんくう総合医療センター感染症センター
pp.244-248
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209601
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武漢における原因不明の肺炎
2019年の大みそか12月31日に毎日の日課で世界中の感染症の発生の状況が報告されているProMED-mail1)をいつものように眺めていた.すると中国武漢において27例の原因不明の肺炎が発生しているとの情報が目に飛び込んで来た(図1).関西空港に近く,特定感染症指定医療機関に指定されている地方独立行政法人りんくう総合医療センター(以下,当院)では海外からの渡航者については全症例,筆者のところに連絡が来る体制を敷いており,日常から輸入感染症に対する病院スタッフ全体の意識を高めてきた.
武漢で原因不明の肺炎発生との情報を確認して真っ先に思ったことは,これは当院に来ることになるとの確信であった.直ちに病院の救急部門のその日の担当者に電話連絡して情報を共有し,中国武漢というキーワードの周知を徹底した.これが当院における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いの始まりである.
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