特集 原子力災害と公衆衛生—避難指示解除後の地域復興に向けて
扉
pp.283
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208641
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日本で発生した原子力災害として1999年9月30日に発生した茨城県東海村核燃料加工施設JCOの臨界事故があります.しかし,長期にわたり多数の住民が自治体ごと避難を強いられる事態となった原発事故は福島第一原発事故が初めてです.2017年2月現在も事故を起こした原発廃炉作業が進められており,いまだ予断を許さない状況にあります.発災後6年を経て,田村市,川内村,楢葉町,葛尾村,南相馬市と,避難指示解除区域が拡大してきています.全村避難している飯舘村の大部分も2017年3月末に避難指示が解除されます.
地域の再生や復興の計画が作られ,進められていますが,自然災害とは異なり,避難指示解除後も元の生活に戻る住民数が予測できない厳しい現実に直面しています.自然災害に対する公衆衛生活動については阪神・淡路大震災以後,保健師の応援・派遣体制や公衆衛生支援チームの創設も進められています.しかし,福島の原発事故のような原子力災害に対してはどのような公衆衛生活動支援をしていく必要性があるのかについてはまだ先が見えていません.福島第一原発事故後の現実を見つめ,今後の原子力災害時の公衆衛生活動を考えていく必要があります.
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