特集 危険ドラッグ対策
扉
pp.221
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208151
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脱法ハーブを吸引したうえでの重大な事故・事件の報道が昨年以降急増しました.ハーブという言葉のひびきから連想するものとはまったく違い,その中身は違法薬物と類似した成分を混ぜ込んだ香草であり,いわゆる「脱法ドラッグ」の一種です.脱法ドラッグは,麻薬や覚せい剤と似た作用を持ちながら「麻薬及び向精神薬取締法」や「覚せい剤取締法」などによる規制の対象となっていないものであり,売る側は合法ドラッグなどと呼んでいます.しかし,これらの中には麻薬や覚せい剤よりも危険性の高い成分が含まれている可能性も指摘されています.そこで厚生労働省と警察庁は2014年7月,脱法ドラッグに代わる呼称を公募により選定し,「危険ドラッグ」と呼ぶこととしました.
危険ドラッグ対策としてわが国では,使用した場合に健康被害が発生するおそれのある物質を,薬事法に基づく指定薬物として1,300物質以上を指定し,規制を行ってきました.さらに,改正薬事法(医薬品医療機器等法)によって,指定薬物の輸入,製造,授与,販売に加え,その使用や所持も摘発対象とされたほか,販売停止命令の対象が「指定薬物と同等以上に精神毒性を有する疑いがあるもの」まで拡大されました.しかしながら,イタチごっこの規制下では危険ドラッグの蔓延がさらに拡大し,今後の公衆衛生の重大な課題となるおそれがあります.そこで本号では,薬物乱用問題の中でも特に「危険ドラッグ」に焦点をあてて公衆衛生従事者向けに解説をお願いしました.
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