特集 腎疾患の予防と生涯管理
腎疾患の疫学
酒井 紀
1
Osamu SAKAI
1
1東京慈恵会医科大学第二内科
pp.292-295
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207925
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■はじめに
わが国の腎疾患の実態は,過去20年の間に大きく変貌している.その背景には,腎疾患研究の著しい進歩と共に,治療面,特に透析療法をはじめとする種々の腎疾患治療法の進歩・改善がみられ,この結果,腎疾患の予後を大きく変えてきている.さらに,わが国では学校検尿の法令化や職域検尿の拡大など,いわゆる集団検尿の普及によって,腎疾患の早期発見・早期対策の効果が認められるようになってきている.一方,わが国では透析療法の著しい進歩・普及によって,腎不全患者は年々増加の一途をたどり,いまや,末期腎不全患者の生命維持を可能にする時代となってきている.
このように,わが国における腎疾患の現状は,医学的にも社会的にも多くの問題が提起され,早期発見から腎不全対策までの重要性が示唆されている.ここでは腎疾患の疫学について,現状分析を中心にして述べてみる.
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