保健行政スコープ
「健康運動指導士」の役割とその養成
小田 清一
1
1前厚生省保健医療局健康増進栄養課
pp.644-645
発行日 1988年9月15日
Published Date 1988/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207779
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●健康づくり施策における位置づけ
本格的な高齢化社会の到来に備え,健康で活力ある社会を構築していくため,厚生省が「国民健康づくり対策」を開始したのは昭和53年であった.この対策は検診の普及による疾病の早期発見,早期治療すなわち2次予防体制の整備に重点が置かれていた.昭和63年度予算の作成に当たり,これまでの10年間の健康づくり施策を評価し,この間の国民の健康づくり意識や社会生活の変化を踏まえ,今後必要とされる健康づくり対策のあり方について検討が行われた.
その結果,これからは疾病の発生予防(1次予防)や,更に一歩進めて積極的に健康度を向上させる「健康増進」に力点を置いた施策展開を図ることが必要であるとされ,厚生省では昭和63年度から10年計画で第2次国民健康づくり対策「アクティブ80ヘルスプラン」を実施していくこととなった.これは,80歳になっても身の回りのことができ,社会参加もできるようなアクティブな老人を作っていくことによって,21世紀の超高齢化社会に対応していこうという主旨である.つまり人生80年の質的改善を図っていくものである.この対策の特色は次のように要約される.①疾病の発生予防,健康増進に重点が置かれている.②栄養,運動,休養という健康づくりの3要素のうち特に運動に重点が置かれている.③公的セクターによる健康づくり対策に加えて,民間活力の積極的な導入を図っている.
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