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用語解説
長崎 護
pp.517
発行日 1979年7月15日
Published Date 1979/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205891
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- 文献概要
▶細胞診
細胞診の歴史は古く,1800年代後半には,各種滲出液等からの悪性腫瘍細胞の検出のために,これが実施されていた.また当時,婦人科領域ではがんの診断ではなく,もっぱら性周期の判定に利用されていたが,たまたまPapanicolau(1883〜1962年)が標本中にがん細胞を発見したことが契機となって,婦人科領域におけるがん診断法の一つとして細胞診が発展してきた.当初の細胞診は自然に脱落した細胞をみる剥離細胞診であったが,最近は擦過細胞診から臓器穿刺細胞診へと,新しい分野に急速に発展してきている.細胞診の目的は異常細胞の有無,とくに腫瘍細胞の判定に大きな意義があり,最近は,各種がん検診のスクリーニングの一法としても活用されている.中でも子宮頸がんの集団検診に広く活用されていることは,周知のとおりである.
細胞診の判定,分類には,一般にはパパニコロー分類が使用され,5段階に分類されている.すなわち,
Class Ⅰ:異型細胞は認められない〔陰性〕
Class Ⅱ:異型細胞所見を認めるが悪性の証拠はない〔陰性)
Class Ⅲ:悪性の疑いがある細胞診所見であるが,悪性とただちに判定できない〔疑陽性〕
Class Ⅳ:悪性の疑い濃厚な細胞診所見〔陽性〕
Class Ⅴ:悪性と断定し得る細胞診所見〔陽性〕
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