地域保健活動の実際例
学校保健から始まった地域保健活動—香川県医師会の例
永井 啓
1
1香川県医師会
pp.131-135
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205340
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
地域における保健活動が,地道に息長く継続され,その成果を上げてゆく鍵は,関係する人々がそろって意義を認識し,相協力して行動することにかかっている.地域健康教育の必要性が提唱され,大きく陽の目を浴びてから,ここ10年あまりの推移をみても,一部特定の人々のみによって企画され,実行されてきたものは,表面的には一時たいへんに華やかで脚光を浴びるけれども,数年を経ずして当事者の交代などで,いつの間にか消滅してしまって,その影さえも見出せないことがある.真に,対象である住民や若い人々,または老人層の福祉と幸福を願う活動であれば,関係者がみんなで実情をよく調査し,分析し,討議を加えて検討し,その上で,分担協力して推進していくべきで,継続の基礎はここに固まってくるものである.しかしながら,理論的にこれらのことは分かっていても,組織の中で,みんなの意識をまとめ,共同して推進して行こうということはなかなかに難しく,いわゆる口火が切られる背景というか,機運というものの醸成が大切で,このような環境のできている所では比較的容易に行動が起こしやすい.
その意味で,私どもの香川県は,全県的に学校保健という共通の基盤の上に,県下の関係者の認識が高く,戦前の学校衛生といわれていた頃からの長い伝統が大きい支えとなって効果を現わしてきている.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.