特集 コミュニティ・ケア
精神医療分野のコミュニティ・ケア
石原 幸夫
1
1神奈川県精神衛生センター
pp.614-620
発行日 1972年10月15日
Published Date 1972/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204552
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精神医療におけるコミュニティのとらえ方
医療の分野におけるコミュニティ・ケアを考える場合,コミュニティをどのような立場でとらえるかという問題は避けてとおることのできない重要な問題である.医療のなかでも,とくに新しい分野である精神医療の場合には,この問題は一層重要である.わが国では,コミュニティという言葉はそのまま「地域」という言葉に置き換えられて使われているが,このコミュニティを医療との関連で古くから取りあげているのは,いうまでもなく公衆衛生の領域である.
公衆衛生ではこの「地域」について,「歴史的・社会的なまとまりと共通性を有する一定のlocalityであり,広い意味での英語のcommunityに相当するものといえるが必ずしも単一の地理的な拡まりを意味するものではなく,いわゆるcommunityの成層化の観点から弾力的な考え方が必要である1)」とのべている.地域とは必ずしも単一の地理的な拡まりを意味するものではない,という点に注目しなければならないのであるが,公衆衛生におけるコミュニティについては,まず地域単位としての意味あいが,伝統的にきわめて強いようにみうけられる.
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