特集 第12回社会医学研究会
自由集会
労災職業病のとりくみと保健医療従事者
松下 敏夫
pp.761
発行日 1971年12月15日
Published Date 1971/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204394
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今回の労働衛生の自由集会は,一昨年の「職業病をどう掘り起こすか」昨年の「農村医学と労働医学の交流」といった一定のテーマにそって準備されなかったため,討論のまとまりを欠いた.
会は「職業病を摘発することは容易だ.しかし摘発するだけなら取り上げない方がましだ」という大阪総評の労働者の言葉を口火にして,まず労災職業病に対する労働者や労働組合の対応の現状や問題点について意見がだされた.その中で,無権利な季節工・臨時工の問題,企業内労組の体質賃金奴隷という労働者の現実の姿などが話された.さらに,労災職業病についてのとらえ方やとりくみ方に関して,公害と職業病は共通の根から生じていること,今日の職業病は安保体制のもとで東南アジアを含めて職業病の侵略という問題を提起していること,日本の職業病闘争は政治闘争としての質をもった闘いであるのに補償の闘いに解消されつつあること,労災職業病闘争では医者を運動の中心にしないこと(ゼニ・カネの闘いに解消されがちだから),労災職業病は個別の企業内の問題としてとり上げる限り問題の解決にならぬこと,公害・災害・職業病の根源に対する闘いが基本的に必要であること,等々重要な問題の指摘がされた.
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