特集 世界のなかの綜合保健
論叢
フィリッピンの公衆保健雑感
山本 俊一
1
1東京大学
pp.102-104
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202997
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日本キリスト教海外医療協力会から派遣されて,昭和39年5月13日フィリッピンに着き,ルソン島東南部ナガ市郊外の無医村カロリーナでYMCAワークキャンプに1カ月間参加して医療,衛生教育に従事し,ついで6月16日から8月11日まで約2カ月間,ミンダナオ島ダバオ市で日比合同コレラ調査委員会の委託によりコレラ防疫に従事した。
3000万人の人口をもつフィリッピンには,設備不十分のものを含めても医科大学が六つしかないために,医師の絶対数が不足しているのであるが,さらにそれらが大都市に偏在する傾向があり,農村の医師分布密度は極度に稀薄である。とくに交通の不便な地域では,無医村の意味が日本よりもっと深刻である。そのような地区での住民には生涯一度も医療の恩恵に浴することなく,空しく死んでいく例が多い。
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