綜説
最近の人口問題
舘 稔
1
1国立人口問題研究所総務部
pp.194-198
発行日 1959年3月15日
Published Date 1959/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202111
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1.
1958年ほど日本で数多くの国際会議が開かれた年は恐らくこれまでになかつたであろう。またこれ等の国際会議がほとんどすべて大なり小なり世界やアジアの人口問題に触れたこともこれまでになかつたことである。こうして今や世界の人口問題がその焦点をアジアにしぼつて,人口問題に対する国際協力がいよいよ本格的活動の段階に入つたことを痛感せざるを得ないのである,先ず,直接,間接にわたくしが関係をもつたこれ等の国際会議の印象を簡単に誌してみよう。これ等はやがて世界の人口問題史上必ずや特筆さるべき重要な記録に連なるとみられるからである。
(1)1958年7月28日−8月8日,国連・技術援助局,エカフエ,ユネスコおよび日本政府が組織して地域計画セミナーが東京,産経会館で開催された。エカフエ地域12カ国が専門家をこれに派遣した。近い将来に予想されるエカフエ地域諸国の爆発的人口増加が地域計画の基本的事実として注意を集中した。討論指導者としてこれに臨んだシカゴ大学社会学教授P. M. Hauser博士の造語によればこの地域は既に"過剰都市化,over-urbanized"の状態にある1)。すなわち,都市が必要とする以上の人口が都市に集積しているというほどの意味であろう。
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