研究報告
ピペラジンハイドレイトによる蟯虫集団驅虫成績
前田 嘉右ェ門
1
,
多田 哲夫
1
,
小原 寧
1
1福井県衛生研究所
pp.51
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201695
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1.緒出
戦後寄生虫保有者の増加が叫ばれ,特に蛔虫に就いては,児童の虫卵検査予防駆除の徹底化,公衆衛生知識の向上等から,保有率は低下しつつあるにも拘らず,蟯虫症に就いては,検査方法の不適当と症状の軽微な為,医師並びに一般の認識が低く,軽視又は看過されがちであつた。
近年セロファンサーブ法及びスコツチテープ法が蟯虫卵検査法として普及されるに従つて,蟯虫浸淫率は意外に高率である事が判明し,殆んど100パーセント寄生していると云う説さえある。当所に於ける福井県内児童のスコツチテープ法による1回検査の成績でも,最高84%の寄生率を得ている。我々が実際に蟯虫卵を検査するに当つて常に痛感するのは,特効薬に欠ける為,多数の陽性者に適当な治療法を指導出来ない事である。今回エーザイ株式会社のピペニン(ピペラジンハイドレイト)に依る児童の蟯虫集団駆除実験を行う機会を得て,副作用を全く認めず優秀な駆虫効果を認めたので報告する。
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