視点
ビッグ・データ時代の臨床研究と公衆衛生への期待―医学への敬意,医療への感謝,研究への希望
佐瀬 一洋
1
1順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学
pp.698-699
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102835
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ビッグ・データ時代の臨床研究
いわゆるビッグ・データの時代を迎え,医学の創造的破壊が話題となっている1).世界に先駆けて高齢化社会を迎えた日本では,がん,血管病,認知症の増加といった大きな困難に直面することが予想され,予防・診断・治療・介護のすべてにわたり,持続可能な社会保障システムの構築が急務である.一方,科学技術,特にライフサイエンス分野では,ヒトゲノム解読やiPS細胞開発に象徴されるように,偶発的な発見の積み重ねから組織的な価値の創造へとパラダイム・シフトが進み,それに伴い臨床研究も疾患志向型研究から患者志向型研究へと大きく変貌を遂げつつある.
公衆衛生は,近代化を図る中で,国民の健康な生活を確保するための医療および保健指導として大きく発展してきたが,情報通信技術の発展や疾病構造の変化を踏まえ,疫学や医療統計学をはじめとする方法論を核とした社会健康医学(パブリック・ヘルス)として,さらなる活躍が期待されている.
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