特集 自然毒 刺傷・咬傷―野外危険生物
わが国における野外動物の自然毒と刺傷・咬傷の概要
宇仁 茂彦
1
1大阪市立大学大学院医学研究科寄生虫学分野
pp.362-366
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101792
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
生物が生産あるいは保有する毒は自然毒と呼ばれる.毒を持つ生物の種類に応じて,自然毒は細菌毒,植物毒,動物毒の3つに分類される.わが国においてよく知られている有毒動物はマムシ,ハチ,フグなどである.1995年,外来種であるセアカゴケグモが見つかり,予防や治療において新たな対策が必要になってきた.また,魚類や貝類など,海洋生物から多様な種類の毒が見つかっている.
これらの有毒動物の知識は,安全な食物の確保と刺傷や咬傷の回避にとって重要である.さらに,毒の成分や作用機序の研究は,有毒動物によって被害を受けた人々の診断や治療に必要であることに加え,新しい医薬品や研究用試薬の開発にも貢献する.
本稿では,わが国に生息する主な有毒動物の種類とそれらの毒による症状の概要を述べる.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.