特集 これからの予防接種
日本脳炎ワクチンの再開に向けて
加藤 達夫
1
1国立成育医療センター
pp.737-740
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101647
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はじめに
日本脳炎の定期予防接種は,従来のマウス脳日本脳炎ワクチンの接種後副反応に関する懸念から,2005年5月以降厚生労働省の「積極的勧奨の差し控え」の勧告により接種の際には慎重を期した実施が求められている1~3).本年2月の細胞培養日本脳炎ワクチン(以下,新型ワクチンと略)が製造販売承認を受け,厚労省は6月2日に日本脳炎の予防接種実施規則の一部改正を通知し,新型ワクチンは定期接種第1期に用いることが可能となった2,3).
新型ワクチンはその製法上の特性からも従来のマウス脳ワクチンに比べ安全性がさらに向上していると考えられるが,現在進行中である市販後の大規模調査により,追加接種における有効性,安全性が確認されるとともに,ワクチンの供給体制が整えば現在の「積極的勧奨の差し控え」の措置は解除され,定期接種全対象者への接種が可能となるものと思われる.
本稿では,今春認可された新型日本脳炎ワクチンについて解説するとともに,実施規則改正の背景,そして日本脳炎予防接種の今後の課題について述べる.
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