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「人間らしい労働」と「生活の質」の調和―働き方の新しい制度設計を―日本産業衛生学会創立80周年記念・第81回学会(6月25~27日,札幌)企画の背景
岸 玲子
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1北海道大学医学研究科公衆衛生学分野
pp.478-482
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101342
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日本産業衛生学会は本年,80周年目を迎える.創立時は年に2度集会が開催され,また第二次世界大戦中(昭和19年と20年)には総会は行われなかったので,年次総会としては今年で第81回になる.6月25~27日まで札幌コンベンションセンターにおいて学会創立80周年記念・日本産業衛生学会が開催される.企画運営委員会は,創立80周年記念の年を迎えて,わが国では長時間労働による健康障害や非正規雇用の問題など,働く人々の健康と安全の環境が依然として厳しい状況であることを踏まえて,メインテーマを「人間らしい労働」と「生活の質」の調和――“働き方の新しい制度設計を”とした.「人間らしい労働」は,ILO(国際労働機関)が世界に向けての目標として掲げている“decent work for all”に呼応する.「decent」の意味は“人並みの,一定水準の,品のある”という訳である.さらに「生活の質」は,誰しもその向上を願っている.このような労働者の働き方や生活の質については,年金や社会保障を含め,国の改革の方向性に対する私たち自身のグランドデザインなしには改善がもはや難しいのではないか?との問題意識で,“新しい制度設計”を加えてサブタイトルとした.
本稿はこの80周年記念81回学会企画について,企画運営委員長の立場で背景や考えを書かせていただくものである.
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