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編集後記
長谷川 傑
pp.454
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134467030300060454
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日本における外科医療を取り巻く状況は大きな転換期を迎えています.少子高齢化に加え,外科医の数は減少傾向にあり,働き方改革の波の中で従来型の長時間労働に依存した教育や診療体制は維持できなくなりつつあります.また,臨床の多忙さから研究に割ける時間は限られ,基礎から臨床に至る研究力の低下が懸念されています.これらの課題は,医療制度全体に関わる深刻なテーマであり,外科医一人ひとりが直面する現実でもあります.
一方で,世界に目を向けると,手術技術や周辺機器は新たな段階へと進化を遂げています.従来のda Vinciに加え,多様なロボットシステムが登場し,各国で臨床導入が始まっています.またAIによる画像解析,VRを用いたトレーニング,術中ナビゲーションの高度化など,外科医療を取り巻くテクノロジーは急速に広がりを見せています.こうした潮流は,手術そのものの安全性・精度の向上だけでなく,教育や研究の在り方をも大きく変えつつあります.

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