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編集後記
長谷川 傑
pp.332
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426201089
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最近の内視鏡外科の大きな話題は,なんといってもロボット手術であろう.ロボット手術も初期の頃は性能も今ほどよくなく,懐疑的な意見もあったが,近年,性能の向上と経験の蓄積も相まって急速に広がりをみせてきており,腹腔鏡手術が世の中に広がったときと同様の感覚がある.保険適用術式も増えてきており,hinotori®を始めとして国産を含む新規のロボットも市場にどんどん導入されてきている.AIの導入や遠隔手術など,ロボットのメリットを使った新しい医療の在り方も現実味を帯びてきており,今後自動車の開発と同様に手術も快適・安全に行えるようになってくるのであろう.
消化器分野では,ロボット支援下手術を内視鏡外科技術認定制度に申請することが可能になった.技術認定制度は発足から20年近くになるが,本邦のみならず世界中から腹腔鏡手術の技術評価が患者の短期・長期予後に関連することが示されてきている.腹腔鏡手術の難点を克服しているロボット手術において,よりクオリティの高い手術を短いラーニングカーブで習得できるようになると社会的にもメリットが高いと思われる.一方で,時代の変遷とともに技術が急速に進んでゆくのはよいが,複雑なアプローチ方法が増えるにつれ,若手医師の教育が問題になってきている.腹腔鏡とどうすみ分けて教育してゆくのか,悩ましく感じるこの頃である.
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