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4月に理学療法士としてデビューした皆さんにとっては,この6か月間,幅広い世代の方々との出会いや,「社会人」という枠組みのなかでの新たな経験があったのではないでしょうか.患者さんや利用者の方への対応が思いどおりにいかなかったり,職場で気を遣いすぎて疲れてしまったりすることもあったかもしれません.一方で,「もっと知りたい」という探究心に突き動かされ,日々の時間があっという間に過ぎていくような感覚を覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか.そんなときには,ぜひ本誌『理学療法ジャーナル』第59巻第9号を手に取ってみてください.すでに理学療法士として活躍されている方々による「とびら」や「My Current Favorite」,「私のターニングポイント」などのコーナーを通して,同じ理学療法士としてもさまざまな歩み方があることを知り,少し肩の力を抜く時間をもっていただければと思います.
特集「不安定関節に対する理学療法」では,幅広い疾患に対する詳細な評価法や実践的な介入法が,視覚的にもわかりやすく紹介されています.運動器疾患を主に扱う臨床現場はもちろんのこと,併存疾患として患者さんの障害像に潜む不安定性を捉えるうえでも,大いに参考になる内容が詰め込まれています.また,Close-upでは「費用対効果」に着目し,私たちが展開する理学療法がさまざまなアウトカムを通じて評価されています.これからどのような課題に取り組み,それをどのような成果として残していくべきかを考えさせられます.第6号から掲載されてきた座談会は,今回で最終回を迎えます.理学療法士としての責務ともいえる「自己研鑽」について,多様な立場の方がどのように捉え,実践しているのかが非常にわかりやすく語られており,卒後教育や組織づくりにも大いに参考になる内容となっています.年度の折り返しとなるこの時期に,理学療法専門誌として手にとるのもよし,ほっと息をつくリフレッシュ雑誌としてとるのもよし.いろいろな形で本誌に触れていただければ幸いです.

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