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Ⅰ.緒 言
日本では1981年以来死亡原因の1位はがんであり,その数は現在も増加傾向にある1).がんの集学的治療はおもに急性期病院で実施される.そのようななか医療技術の進歩により全がんの5年相対生存率は64.1%であり,多くのがん種で上昇傾向にあることが報告されている2).生存率の向上にともない治療期間は長期化し,患者や家族は治療方針から療養方法に至るまで多くの意思決定が求められる.しかしながらその選択肢は多岐にわたるため,患者だけで今後を見据えた選択をすることは容易ではないことが報告されており3),看護師の支援が重要となる.
特に,がんが進行し治癒が困難になった患者や家族には,これまでの治療期の意思決定とは異なり,終末期に受ける医療やケア,さらにはどこで過ごしたいかといった療養場所を選択する必要に迫られる.そこで急性期病院で治療を受ける積極的治療からの転換期にあるがん患者には,気持ちのサポート,情報支援4),医師の説明内容について理解を促す支援5)などの看護支援が必要とされる.一方で在院日数の短縮を目指した早期の退院支援が求められており6),がん患者が最期まで急性期病院での療養を望んでも実現するのが難しい現状がある7).そのため急性期病院の看護師は,患者の意思決定を支援することへの困難や終末期のがん看護に対するジレンマ,困難感8)〜10)をかかえていることが報告されている.日本に先駆けて欧米では,1990年代頃から患者自身が意思決定できるうちに,人生の最終段階の医療やケアについて患者・家族と医療者があらかじめ話し合う自発的なプロセスとしてアドバンス・ケア・プランニング(以下,ACP)という考え方が重視され,日本にもACPの考え方が導入された11).しかしながら日本には,欧米に比べると患者側に深刻な病状を詳しく知りたい人は少ない傾向があり12),医療現場では患者本人よりも家族の意思決定が重視される傾向にある13)という文化的背景がある.さらに,患者の精神的影響を懸念する医療者自身がACPの障壁になっているという報告14)もある.そのため,日本の現状や文化的特性をふまえた意思決定支援が必要であると考えられる.
そこで本研究は,急性期病院の看護師への実態調査をもとに,治癒が困難になったがん患者に対する療養上の意思決定支援について明らかにすることを目的とした.さらに,急性期病院の看護師が意思決定を支援する力を高めていくために必要な取り組みについての示唆を得たいと考えた.これにより現在急速にACPが普及しつつある日本における患者の意思決定支援に関する研究の基礎データに寄与すると考えた.
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