書評
誰も教えてくれなかった足の外科[Web動画付]—NIKIメソッドによる治療戦略
寺本 篤史
1
1札幌医科大学・整形外科学
pp.1195
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600101195
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2025年3月31日,仁木久照先生が聖マリアンナ医科大学整形外科の主任教授をご退任された.足の外科を長年けん引されてきたトップリーダーが第一線を退かれることに,大きな喪失感を抱かずにはいられなかった.同時に,これからの足の外科の未来に対する一抹の不安も覚えていた.しかし,その思いを払拭するかのように,まさに同日,本書が刊行された.副題に掲げられた「NIKIメソッドによる治療戦略」が示すとおり,既存の教科書には見られない,仁木先生独自の診断と治療のアプローチが随所に盛り込まれている.
本書を開いて最初に驚かされたのは,第1章,1のテーマが「足根洞から外果先端周辺の痛み」であったことだ.いきなり専門的かつ臨床現場でしばしば見逃されがちな病態から始まる点に,ただならぬ熱量を感じた.足根洞部の痛みは日常診療でも遭遇するが,原因や病態の解明が難しく,漫然と「足根洞症候群」として扱ってしまうことも少なくない.足の外科を専門としない限り,その存在すら知られていないこともあるだろう.そんな領域に対し,わかりやすい診断アルゴリズムと症例提示をもって,極めて実践的に解説されている点に深い感銘を受けた.

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