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骨髄浮腫とは?
大木 望
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1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線診断治療学分野
pp.574
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600050574
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MRIの読影レポートに,“骨髄浮腫(bone marrow edema)”という言葉をよく見ると思います.これは,骨髄内の境界不明瞭な異常信号域(T1強調像で低信号,脂肪抑制T2強調像またはSTIRで高信号)のことで,正確には“骨髄浮腫様の異常信号域”となります.浮腫というと水分増加のイメージが強いと思いますが,それ以外にも出血,炎症,虚血,細胞成分増加などの多種多様な病態を反映していることが知られています.
“骨髄浮腫”を呈する疾患・病態の代表的なものとして,外傷性(骨折,骨挫傷,過負荷によるストレス性変化など),変形性関節症,炎症性疾患(関節リウマチ,脊椎関節症,SAPHO症候群など),骨梗塞・骨壊死,神経障害性関節症,腫瘍,原因不明のbone marrow edema syndrome,本編で取り上げた感染(骨髄炎,感染性関節炎)などが挙がります.骨折の前駆状態,関節リウマチにおける骨侵食の前駆状態など,骨髄浮腫は他の病態の前駆病変である場合があり,早期発見が適切な治療方針の決定に重要な役割を果たします.
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