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増大号 消化管癌の深達度診断2025
序説
消化管癌の深達度診断2025
Introduction
松本 主之
1
Takayuki Matsumoto
1
1岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科分野
キーワード:
深達度診断
,
消化管癌
,
X線造影検査
,
内視鏡検査
Keyword:
深達度診断
,
消化管癌
,
X線造影検査
,
内視鏡検査
pp.369-370
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.053621800600040369
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- Abstract 文献概要
消化管専門医にとって,消化管腫瘍性病変の診断は重要なタスクであり,一定のレベルの診断能を維持し続けるためには常に臨床修練と最新知見の習得が必要である.中でも,上皮性腫瘍の病変範囲と深達度診断,すなわち質的診断は治療法に直結することからも最も重要な課題と考えられている.これらを背景として,「胃と腸」誌では,通常号,あるいは増刊(大)号において定期的に質的診断が特集されてきた.本増大号は,消化管腫瘍の深達度診断について網羅的に学ぶことを主眼に企画されたものであり,従来の知識に加えて最近の知見に関しても,実際の画像とともに詳細に専門医が解説を加えている.中でも,画像強調内視鏡を用いた消化管癌の深達度診断に関しては,包括的かつほぼ完璧な内容となっている.
消化管腫瘍の深達度を考えるうえでは,咽頭・食道〜肛門に至る消化管の解剖学的構造の異同を熟知しておく必要がある.歴史的には,深達度診断法としてX線造影検査から内視鏡検査へと変遷してきたわけであるが,特に咽頭・食道は他の消化管部位とは走行,解剖学的構造が全く異なるため,X線撮影すら容易ではなく,判定にも高いレベルの読影が要求されてきた.これに対し,食道上皮性腫瘍では壁構造とは直接関係のない血管構築を画像強調内視鏡検査で判定することにより,より精度の高い深達度診断が可能となっている.このことは,古典的な消化管腫瘍の診断学とは一線を画す驚異的な発見であり,今後も継承されるべき知識と言えよう.逆説的に言えば,血管構築による診断学をさらに凌駕する技術が今後開発されるものと期待される.
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