書評
行動経済学で学ぶ感染症—武藤 義和 著
坂本 史衣
1
1板橋中央総合病院
pp.335
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810680030335
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「制御のヒエラルキー」をご存じだろうか。感染や災害によって生じるリスクの管理法を,効果の高い順に階層化した考え方である。上位の対策ほど人の意思決定を必要としないため安定して効果を発揮し,下位の対策ほど,その効果が個々人の行動選択に依存しやすい。手指衛生や抗菌薬適正使用のように,ガイドラインで強く推奨される感染対策の多くは,このヒエラルキーの下位に偏っている。これらの「行動依存型対策」は,やってもやらなくても,あるいはやり方が少々おかしくても,直ちに目に見える異変を引き起こすわけではなく,仕事を滞らせることもない。そのため多忙な医療現場では,真っ先に省略されやすい。
それゆえに,感染対策チーム(ICT)は,人の行動に関する難題に日々取り組んでいる。

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