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特集 健康生成の考え方とサルトグラフィ
精神科臨床からみる健康生成—3つの「健康症候群」として記述する試み
The Salutogenesis from a Psychiatric Clinical Perspective : Three “Health Syndromes”
杉林 稔
1
Minoru Sugibayashi
1
1社会医療法人愛仁会高槻病院精神科
1Department of Psychiatry, Aijinkai Healthcare Corporation Takatsuki General Hospital, Osaka, Japan
キーワード:
普遍的健康症候群
,
universal health syndrome
,
文化依存的健康症候群
,
culture-dependent health syndrome
,
個人的健康症候群
,
personal health syndrome
,
中井久夫
,
Hisao Nakai
Keyword:
普遍的健康症候群
,
universal health syndrome
,
文化依存的健康症候群
,
culture-dependent health syndrome
,
個人的健康症候群
,
personal health syndrome
,
中井久夫
,
Hisao Nakai
pp.1433-1438
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670111433
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抄録
疾患にばかり偏らず健康にも注目しようというのが本特集の主旨だが,健康はそれ自身が自ら生成しようとする固有のダイナミズムをもっていると捉える視点が重要である。
精神疾患について中井久夫が『治療文化論』で提唱した「普遍症候群」「文化依存症候群」「個人症候群」という3分類を借用して,健康もまた症候群とみなして分類的に記述してみた。どの時代,どの文化,どの個人においても共通しているものを「普遍的健康症候群」,特定の文化や社会においてのみ見られるものを「文化依存的健康症候群」,ある特定の個人に特異的に出現するものを「個人的健康症候群」として検討した。
また,病跡学から派生したサルトグラフィについて言及しつつ,健康にはまだまだ記述され尽くされていない未開拓の領野が広がっていることを示した。生成は記述とともにあるはずであり,健康の動的で生き生きとした生態を活写する必要がある。

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