書評
発達とトラウマから診る精神科臨床—青木 省三 著
福田 正人
1
1群馬大
pp.1411
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670101411
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精神疾患について,「発達メガネ」や「トラウマメガネ」をかけて,「生活のなかで困っていること」への「反応性と考える」。そうした「素朴な心因論」に基づき,「ねぎらうことの大切さ」を心掛けて「やわらかく治す」。そのような精神科診療を,数多くの症例に基づいて身近に学べる本である。
「何かの出来事が原因のように見えても「(中略)」本質的には脳の失調,脳に主な原因がある」と若いころに教えられた世代にとっては,精神疾患の見方に根本転換を求められることになる。しかしそれは古き心因論の復権ではなく,精神医学の進歩を踏まえたより精緻な心因論である。そこでのキーワードは,発達症とトラウマの相互作用「発達⇄トラウマ」である。

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