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科学的に根拠のある医療・薬剤や処方,いわゆる“evidence based medicine(EBM)”の重要性に関しては,漢方薬も例外ではない.EBMは,①臨床研究による根拠,②患者の価値観の尊重,③医療従事者の熟練性,専門性に分類され,②③に関して東洋医学は通常の西洋医学に比べても,勝るとも劣らぬ性格を有するかもしれない.ただ,①に関しては漢方薬が多成分系であり,腸内細菌の影響を受け(相加・相乗・拮抗作用),作用点も多岐にわたることから系統的な作用機序の理解が困難であり,疾患の治療に漢方薬を選択しない医師を生んでいる大きな要因の1つと思われる.しかし,投与群と非投与群(プラセボ対照,非対照)との前向き臨床試験での統計解析や系統的な方剤の理解,腸内細菌の薬剤に及ぼす影響,東洋医学における診察(望・問・聞・切診)の再現性を高める試み,artificial intelligence(AI)の普及と漢方への応用,漢方のEBMの蓄積など,近年新しい知見が急速に集積され東洋医学も変貌を遂げつつあるように感じている.そこで本特集では『漢方が未来を翔ける—最新の理論との出会い』と題して,漢方のユニット化(ユニット理論),漢方薬への腸内細菌の影響,東洋医学的診察の新しい取り組み,AIと漢方,漢方のエビデンスなどにつきご専門の先生方に解説を依頼し,執筆いただいた.本稿が目指すところのテーマが診療科横断的である特徴を有するため,『泌尿器科』という診療科に捉われない内容構成となっていることはご容赦いただきたい.本特集が東洋医学を専攻される先生方のみならず,これから漢方を始めてみようと考えておられる先生方の参考になれば望外の喜びである.

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