書評
EPSとSVT—心臓電気生理学的検査と上室頻拍
山下 武志
1
1心臓血管研究所
pp.1037
発行日 2026年10月1日
Published Date 2026/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110540101037
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あれから20年,成長の軌跡を込めた永嶋渾身の不整脈本
僕は,永嶋孝一先生が学生の時(永嶋君だ)から知っている.とある研究会が始まる前,彼は僕が執筆したテキストを片手にたたずんでいた.「この本で勉強しています.サインを頂けませんか」と自信なさそうに彼はつぶやいた.そばには彼の大先輩の不整脈医がいて,「頑張り屋なんです.学生なのに不整脈に妙に興味があるようで」と彼を支えた.そして,約20年後,その彼は,今や不整脈分野で飛び羽ばたくスターだ.「自信なさそうに」はすっかり影をひそめ,この20年間の経験を背景にした自信に満ちあふれている.研究者であると同時に立派な教育者として成長したことにも驚く.
かつて臨床電気生理学的検査を学ぶためのテキストは,Josephsonの『Clinical Cardiac Electrophysiology』という洋書と,早川弘一,比江嶋一昌の『臨床心臓電気生理学』という和書の2冊しかなかった.その後数々のテキストが出版されたが,臨床電気生理学の深化とともに,多くの専門家が執筆したものを編集するという形にならざるを得ず,ともすれば読者は置いてきぼりを食らった.本書はSVTに絞って,著者が一人で全てを執筆したという点で,読者にとって理解しやすくなるばかりでなく,著者の信念が伝わるという意味でもこれまでの類書と際立った違いを感じさせてくれる.

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