書評
医療者のポスターデザイン—美しく伝え,心に響く学会ポスターの教科書
伊東 完
1
1筑波大病院病院総合内科
pp.1058
発行日 2026年10月1日
Published Date 2026/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110540101058
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
AI時代に人間であることの意味を,デザインを通して教えてくれる名著
書籍の著者というものは,どこか完璧超人のように見られがちである.同一著者の書籍が複数ある場合は,それぞれが完成形で,明確なすみ分けがあるようにも思われる.しかし,実際はそこまで単純でもない.今,評者の手元に小林啓先生の『医療者のスライドデザイン』(2023年)と『医療者のポスターデザイン』(2026年)の2冊がある.ほぼ同じ装丁の,いわば青本と赤本だ(もっとも,並べてみると高さが微妙に違う).これら2冊を前に,書店で「どちらを買うべきか」と悩んでいる人もいるに違いない.だが,結論は明快—迷わず両方買うべきだ.
著者自身が赤本の冒頭で認めているように,ポスターとスライドのデザインは大きく異なる.しかし,両者に重要な共通点があることを忘れてはいけない.それはストーリーの重要性であり,その前提として「何を伝えたいのか」を明確にする必要がある点である.青本がレイアウトのベストプラクティスを体系的に解説したいわば「教本」であるとすれば,赤本はストーリーに応じてレイアウトを選び取るプロセスを示す「事例集」.したがって,ポスターを作る人が青本をすっ飛ばしてよい訳ではないし,スライド作成に赤本が不要ということもない.両著は相補的な関係なのである.

Copyright © 2026, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

