臨床検査のピットフォール
グラム陰性なのにClostridium属?
田口 裕大
1
1市立札幌病院検査部検体検査課
pp.576-579
発行日 2026年6月1日
Published Date 2026/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110540060576
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はじめに
Clostridium属は分類学上,“有芽胞グラム陽性桿菌”とされているが,臨床現場ではグラム陰性に染まりやすい菌種が存在し,同定のピットフォールとなっている.その代表が,C. ramosum,C. innocuum,Enterocloster clostridioformis(以前のC. clostridioforme)である.これら3菌種は①グラム染色性の不安定さ,②芽胞形成能の低さ,③Clostridium属としては非典型的なコロニー形態,という共通の特徴から,それぞれの種小名の頭文字を取り“RICグループ”と呼ばれる1).
さらにE. clostridioformisはC. bolteae,C. hathewayi,C. citroniae,C. aldenenseとともにC. clostridioformeグループを形成する.このグループの菌種も同様にグラム陰性に染色され,フットボール型(あるいは葉巻状)の形態を示す.なお,C. symbiosumも同様の染色性・形態を示す菌として知られる2).
グラム染色は微生物検査の起点となる検査であり,ここでの誤認は以降の検査プロセスや臨床診断に大きく影響を及ぼしかねない.本稿では,これらRICグループに代表されるClostridium属菌の同定におけるピットフォールを整理し,その対策について具体的に解説する.

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