Editorial―今月のことば
未来の健康を歩く―大阪・関西万博と臨床検査のこれから
中村 竜也
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1京都橘大学 健康科学部 臨床検査学科
pp.853-853
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.32118/mt53090853
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夢洲の会場を歩いていると,まるで近未来の縮図のなかにいるかのように感じられる.2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」.最先端テクノロジーの紹介にとどまらず,「ヒトとは何か」「健康とはどうあるべきか」といった本質的な問いが投げかけられている.展示を見て回るうちに気づかされるのは,「健康」という概念の広がりだ.かつては病気を予防し,治療することが医療の中心だったが,今,万博で語られているのは “よりよく生きる” という視点からの健康である.AI診断やゲノム医療,遠隔モニタリングといった先端技術だけでなく,心の健康や社会的つながり,持続可能な生活習慣など,多様なテーマが並んでいる.とりわけ印象的だったのは,「測る」ことの重要性がさまざまなパビリオンで語られていた点だ.正確に測るからこそ,適切な治療や早期発見ができる.また,生活を変えるきっかけも生まれる.まさに「健康の起点」は,測定=臨床検査にあると再認識した瞬間だった.
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