知っておきたい! がんサポーティブケア
10.がん治療に伴う口腔粘膜障害
上野 尚雄
1
1国立がん研究センター中央病院 歯科
キーワード:
口腔粘膜炎
,
口腔ケア
,
がん医科歯科連携
,
口腔支持医療
Keyword:
口腔粘膜炎
,
口腔ケア
,
がん医科歯科連携
,
口腔支持医療
pp.1163-1167
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034111163
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はじめに
がん薬物療法や頭頚部がん放射線療法において口腔粘膜炎は発症頻度の高い有害事象である(表
1).通常の細胞障害性の抗がん薬のみならず,一部の分子標的薬〔mTOR(mammalian target of rapamycin)阻害薬,EGFR-TKI等〕によっても高い頻度で発症し,近年では免疫チェックポイント阻害薬でも発症が報告されている(表2).
口腔粘膜炎は,疼痛により食事や会話を障害し,患者のQOLを下げ,闘病意欲を減退させてしまう.経口摂取を妨げ低栄養や脱水を惹起し全身状態を悪化させる,骨髄抑制期の重大な感染リスク因子であり,潰瘍部の二次感染から全身感染症へ波及させる門戸となる等,局所の問題に留まらず全身的な合併症へ波及するリスクがあり,がん治療の円滑な進行を妨げ,医療経済的な側面でも悪影響を及ぼすことが報告されている 1-3).

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