皮膚科医学史
吉田松陰と疥癬
服部 瑛
1
,
服部 友保
1はっとり皮膚科医院
キーワード:
疥癬
,
伝記
,
江戸期医学史
,
吉田松陰
Keyword:
Biography as Topic
,
Scabies
pp.216-221
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2018215416
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前回,江戸安政時代の暴瀉病(コレラ)の古文書に接して,「幕末当時コレラは流行するが,感染することはまったく知らなかった」ことが実に意外だったと述べた.それは本邦だけでなく,ヨーロッパでも同じ状況で,「1854年にロンドン在住の医師ジョン・スノーが市の中心部の一地区で発生したコレラのもとをたどると,すべてひとつの汚染された飲料水の水源に行き着くことを見事に証明した.だが,スノーの議論は状況証拠だけに依拠するものであり,また感染説はヨーロッパ中の権威ある高名な医学者によって決定的に否定され,1880年(明治13年)代の“細菌”の発見まで待たねばならなかった」というのである.しかしながら感染(伝染)のことは,たとえば目で明らかにみえる蝨のような寄生性疾患では経験的に熟知していたはずである.それならば同じ寄生性疾患でも目でみえにくい疥癬の場合はどうだったのだろうかと,ふと疑問に思えてきた.(「はじめに」より)
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