特集 産科医療補償制度15年でみえてきたもの―脳性麻痺の原因分析と再発防止策
各論
脳性麻痺の原因と再発防止 1.妊娠・分娩管理 胎児心拍数陣痛図
真川 祥一
1
,
中尾 真大
1
,
池田 智明
1
MAGAWA Shoichi
1
,
NAKAO Masahiro
1
,
IKEDA Tomoaki
1
1三重大学産科婦人科
pp.66-72
発行日 2024年1月10日
Published Date 2024/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001403
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はじめに
これまで原因分析委員会では,本制度で補償対象となった脳性麻痺児の事例について臨床経過を中心に原因分析が行われてきたが,分娩との因果関係を分析するにあたり,児の脳障害起点の時期と障害の部位と強度を推定することが重要である。胎児心拍数陣痛図(CTG)は,妊娠期・分娩期の胎児情報として最も客観性をもつ資料の一つであり,その推移を観察することにより,脳障害の受傷起点となった時期を推定することができる。さらに,CTGパターンと新生児・乳児期の脳MRI所見を比較することで,脳性麻痺発症のより深い原因分析が可能となる。産科医療補償制度再発防止ワーキンググループでは,これらの関連性について後方視的に検討を行っており,これまでの分析結果,および今後可能性のある再発防止策について述べる。
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