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特集 ピロリ未感染胃癌の診断と治療Update
序説
Introductory remarks
赤松 泰次
1
Taiji Akamatsu
1
1長野県立信州医療センター
pp.652-654
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002074
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近年Helicobacter pylori(H. pylori)未感染者が増加している。H. pyloriは一般に乳幼児期に感染すると考えられているが,未感染者の増加は本邦における社会衛生環境の改善が第一の理由と推定される。すなわち,衛生状態のよい環境で乳幼児期を過ごした若年世代ほどH. pyloriの感染率は低い1)。現在問題となっているH. pyloriのおもな感染ルートは家庭内感染であり,特に母児間の感染が多いと報告されている2)。しかし,現在母親となっている20〜30歳台でのH. pylori感染率は過去に比べて著しく低下しており,今後ますます未感染者の頻度が増加すると推測される。H. pylori未感染者が生涯で胃癌に罹患する頻度は1%以下といわれており,現感染者や既感染者に比べて低いものの,今後H. pylori未感染胃癌が胃癌全体のなかに占める割合は相対的に増加していくと考えられる。したがって,H. pylori未感染胃癌の特徴をよく理解しておく必要がある。

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