Topics「身近な話題・世界の話題」(127)
テキサス出血病の病因解明
林辰弥
1
,
鈴木宏治
2
Tatsuya Hayashi
1
,
Koji Suzuki
2
1三重県立看護大学 看護学部 教授
2鈴鹿医療科学大学 薬学部 教授
pp.1214-1219
発行日 2014年7月30日
Published Date 2014/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52014081214
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本論文1)は,テキサス出血病の発症理由を明らかにしたものである。テキサス出血病患者では,血液凝固系第 V 因子遺伝子のA2440G変異に起因する変則的スプライシングにより,短縮型第 V 因子が産生されていた。この短縮型第 V 因子は完全長第 V 因子に比較して,組織因子経路インヒビター(TFPIα)に対して高い親和性を有し,しかも,短縮型第 V 因子と複合体を形成したTFPIαは凝固阻害活性を有し,血中では安定性が増すために高い血中濃度が維持されていた。こうした理由により,テキサス出血病では出血傾向を来すことが示唆された。