特集 薬学・薬剤師教育における現在の課題と将来への展望
10.薬剤師教育の原点を見つめる在宅実習教育
篠原久仁子
1
1フローラ薬局・代表取締役/実務実習指導薬剤師
pp.1083-1090
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201704119
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今後の改訂モデル・コアカリキュラムで求められているように,薬学生の薬局実習において,一人の在宅患者を担当し,地域の医療・介護関係者の地域包括ケア会議や退院前後のカンファレンスなどへ身を置くことは,服薬現場の問題を見つめる薬剤師教育の原点となる。他職種から何を求められているのか(ニーズ)を感じ,薬剤師として何ができるのかを考え(自己評価)ることで,患者の課題解決に取り組む探究心(必要性)や責任感が生まれ,さらに未解決の課題が新たな薬学研究のテーマともなり得る。
さらに,臨床の課題解決のための基礎薬学研究を大学に持ち帰り,医療現場にフィードバックできるような医療人を育成するための原点となるのは,患者を担当して取り組む在宅実習教育であると考えている。本稿では実際にフローラ薬局河和田店(茨城県水戸市)で実施した在宅実習教育を紹介し,薬学・薬剤師教育が直面している課題と将来への展望を考える。