発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2017043291
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重金属カドミウム(Cd)の曝露による生体への影響として,もっとも早期に惹起される多発性近位尿細管機能異常症(Cd腎症)の疫学,発症機序,病態,経過・予後,スクリーニングに関して,富山県の神通川流域Cd汚染地域住民を対象とした研究成果を中心に報告した.水田汚染土壌復元による自家産米経由のCd曝露軽減にもかかわらず,Cd腎症の長期持続を認めた.尿酸,カルシウム,ナトリウム排泄率は,きわめて軽症の段階より亢進しており,多発性近位尿細管機能異常の病態が早期より認められた.27年間の経過観察の結果,尿β2-ミクログロブリン(β2-MG)10mg/gCr以上を呈する例では,尿細管リン再吸収機能低下,並びに糸球体濾過値(GFR)の低下を認め,GFR30ml/min未満の低下例では腎性貧血の発症を見た.尿β2-MG/クレアチニン比は単位時間排泄量と一致し,その程度は軽度から重度まで広範囲に分布し,スクリーニング並びに重症度指標として有用である.
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